ベトナムでは、経済成長とともに食を取り巻く環境が大きく変化しています。外食や加工食品の利用が広がる一方で、栄養バランスや生活習慣への影響も指摘されるようになりました。食品企業も、商品を届けるだけでなく、日々の食生活との関わり方も問われるようになっています。
調味料や食品を手がける味の素ベトナムも、この変化を背景に対応を進めてきました。食と栄養を起点に、学校や家庭など生活に近い場面にも関わっています。本記事では、具体的な施策と事業との関係を整理します。
食品事業の枠を超えた活動
味の素ベトナムの活動は、調味料や食品の提供にとどまりません。学校や家庭、製造現場、顧客との接点など、複数の場面に広がっています。
それぞれは個別の活動ではなく、事業と連動する形で進められています。以下では、その内容を見ていきます。
学校給食が支える食習慣

味の素ベトナムは、子どもの栄養状態の改善と食習慣の形成を目的として、「学校給食(Bua An Hoc Duong)」プロジェクトを展開しています。2012年に開始された同プロジェクトは、日本の学校給食の考え方をもとに、栄養バランスに配慮した給食の仕組みをベトナムの小学校へ導入してきました。現在では全国62省市に広がり、4,000校以上が参加する規模へと拡大しています。
外食や加工食品の利用が広がる中で、成長期の子どもに必要な栄養を日常の食事でどう確保するかは、学校現場における課題となっています。味の素ベトナムは教育省や栄養研究機関と連携し、栄養バランスを考慮した献立設計や給食運営の見直しを進めてきました。学校ごとに異なっていた給食の内容や運用も、栄養バランスの基準に沿って少しずつ整えられています。
環境を支える生産

味の素ベトナムでは、食品の生産を支える一方で、製造工程における環境負荷の低減が重要なテーマとなっています。エネルギーの使い方やCO2排出の削減は、日々の操業と密接に関係しています。
2014年には、農業副産物であるもみ殻を燃料としたバイオマスボイラーを導入しました。石油やガスに依存しないエネルギーへ切り替えたことで、CO2排出量は最大48%削減されています。発生した灰も肥料として再利用され、農業へと循環する仕組みが整えられています。
排水処理設備の整備やエネルギー使用の見直し、水の再利用なども進められており、工場全体で環境負荷の低減が進んでいます。冷却水を循環させる仕組みにより、河川からの取水量は最大83.5%削減されました。再生可能エネルギーの活用も進み、2030年までにその比率を50%まで高める計画です。
品質と顧客価値

味の素ベトナムでは、製品の品質と安全性を事業活動の基盤とし、原料の選定から製造、販売までを一貫した基準で管理しています。その基盤となっているのが、ISOの品質管理に関する考え方をもとに構築された品質保証システム「アスクア(ASQUA)」であり、全工程で基準を共有することで品質のばらつきを抑え、改善に反映されています。
また、顧客からの意見や問い合わせは製品やサービスの見直しに活用されており、苦情対応についてもISO10002(顧客満足に関する苦情対応の国際規格)に基づいた体制が整えられています。顧客からの声をもとにした改善を重ねることで、品質の維持だけでなく、顧客からの信頼向上にもつなげています。
基本情報

まとめ
食を起点とした取り組みは、家庭や学校、製造の現場へと広がっています。これらの取り組みは、日々の事業活動と重なりながら進められている点に特徴があります。
個別の施策として捉えるだけでなく、その背景や広がりに目を向けることで、味の素ベトナムの事業と社会との関係がより具体的に見えてきます。継続的な取り組みの積み重ねが、社会との接点を形づくっています。