ベトナムでは急速な経済成長を遂げる一方で、社会の隅々まで支援が行き届きにくい環境に置かれた子どもたちが存在します。特に身体的な困難を抱える障がい児や厳しい生活環境にある子どもたちにとって、教育や医療、そして社会的なつながりを得ることは決して容易ではありません。そうした障がいのある子どもたちが一人ひとりの個性と尊厳を持って健やかに成長し、未来への希望を抱ける社会をつくるために、温かい支援の手を差し伸べ続ける組織の存在が求められています。こうした分野で活動しているのが、Vi Tre Em Khuyet Tat Viet Nam(ベトナム障害児基金/VTEKT VN)基金です。
本記事では、多くの人々に広範な支援を続けるVTEKT VNの活動内容や、参加·寄付する方法、これまでの実績について詳しく紹介します。

目次
VTEKT VN基金とは?
VTEKT VN基金は、ベトナム内務省の決定1074/QĐ-BNVに基づき、2010年9月16日に設立された基金です。2017年には現在の「Vi Tre Em Khuyet Tat Viet Nam基金」へ名称が変更されました。
同基金は、ベトナム全土における障がいのある子どもたちを主たる対象として、その合法的な権利と利益を擁護する分野を中心に活動しています。子どもたちの保護や心身のケアはもちろんのこと、教育環境の整備、職業能力の育成、生活環境および健康状態の改善、社会的な統合や情報アクセスの向上など、障がい児が直面するさまざまな課題の解決に向けた多角的な支援事業を継続的に展開しています。
VTEKT VN基金の取り組み紹介
教育および就学支援

身体的な困難や厳しい環境に負けず、ひたむきに学びを求める子どもたちの強い意志を支えるため、教育支援が展開されています。「Hoc Bong Hoa Xuong Rong(サボテンの花奨学金)」プログラムや「Tiep Suc Den Truong(学校への道)」プログラムなどを通じて、どんな境遇でも夢を諦めない子どもたちへ学びの機会と学用品が届けられ、彼らの未来を切り拓く大きな力となっています。
生活および健康支援

日々の生活や健康管理に不安を抱える子どもたちを支えるため、衣食住や医療、栄養面に関するさまざまな取り組みが行われています。温かな衣服を届ける活動や各地の養護施設への訪問、生活支援金の提供などを通じて、障がいのある子どもたちの生活環境の改善を図っています。
2026年には、Son La(ソンラー)省で障がいのある子どもたちを対象とした「Cai Thien Bua An Dinh Duong(栄養食改善)」プロジェクトが実施されています。日々の食事に必要な栄養面の改善を通じて、子どもたちの健康や生活を支援する取り組みです。
自立および社会参加支援

障がいという壁を乗り越えて社会の一員として自分らしく輝きたいと願う子どもたちを後押しする取り組みが実施されています。ファッションに関連するプロジェクトなどを通じて、子どもたち自身が表現する楽しさを味わい、自立や社会参加に向けたかけがえのない自信と経験を培う機会が提供されています。
2025年に実施された「Thoi Trang Hy Vong(希望のファッション)」は、障がいのある人や困難な状況にある人を対象としたプロジェクトです。ファッション、縫製分野の職業訓練などを通じて、技能習得や就労機会の創出を支援する取り組みが行われました。
VTEKT VN基金への参加・寄付方法
寄付による支援
個人や企業からの寄付を受け付けており、公式サイトでは銀行振込やQRコードを利用した寄付方法が案内されています。現在、VietcombankとMB Bankの口座情報が掲載されています。
ボランティアとしての参加
各地で行われる支援活動では、基金のスタッフとともに多くのボランティアが子どもたちへの訪問や物資の提供などに加わっています。現地での支援活動やイベント運営に携わることで、活動を支える一員として参加することができます。
VTEKT VN基金の実績と信頼性
設立以来の歩みの中で、同基金は数多くのプロジェクトを着実に実行してきました。公式ホームページに掲げられている通り、これまでに1万人以上の子どもたちが支援を受け、320万回を超える寄付の申し出が寄せられ、200人を超えるボランティアが活動に加わっています。内務省の正式な認可を受けた非営利組織として、高い透明性と社会的信頼性を維持しています。
基本情報・問い合わせ

まとめ
障がいのある子どもたちが直面する困難を乗り越え、自らの未来を切り拓くには、単発的な支援にとどまらず、教育や生活、自立に至るまで長期的に寄り添い続ける視点が求められます。VTEKT VN基金の活動からは、こうした時間のかかる福祉・支援活動を、行政の認可のもとで着実に支えていく一つの形が見えてきます。
社会構造が変化し、多様性への理解が求められる中、一人ひとりの子どもたちに目を向け、継続的な関わりを広げていくことも重要です。同基金の歩みは、困難な環境にある子どもたちと社会とのつながりをあらためて考えるきっかけの一つとなっています。