ベトナムでは、がん治療を受ける患者のなかに、治療費や医薬品代、入院中の生活費など、経済的な負担を抱える人もいます。治療が長期に及ぶ場合は、患者本人に加え、付き添いや看護を担う家族の生活にも影響が広がります。
こうした状況にある患者と家族を支えているのが、Ngay Mai Tuoi Sang(ガイマイトゥオイサン、「明るい明日」の意)基金です。同基金は、がん患者とその家族が治療を続けられるよう、さまざまな支援に取り組んでいます。
本記事では、Ngay Mai Tuoi Sang基金の活動内容や参加・寄付方法、これまでの実績を紹介します。
目次
Ngay Mai Tuoi Sang基金とは?
Ngay Mai Tuoi Sang基金は、ベトナム保健省によって設立された、がん患者を支援する非営利基金です。2011年に内務省から設立許可を受け、経済的な事情によって治療の継続が難しい患者を主な対象として活動しています。
企業、医療機関、製薬会社などと連携しながら、患者の治療環境や生活状況に応じた支援事業を展開しています。
Ngay Mai Tuoi Sang基金の主な取り組み
Ngay Mai Tuoi Sang基金は、患者の年齢や治療状況、必要とする支援に応じて複数のプログラムを展開しています。公式サイトで案内されている主な取り組みは、「Ho Tro Cho Benh Nhi Ung Thu(がんを患う子どもへの支援)」「Ho Tro Thuoc(治療薬の支援)」「Bac Si Tu Van(医師による相談)」の3つです。
1.がんを患う子どもへの支援
Ho Tro Cho Benh Nhi Ung Thuでは、病院を訪れ、入院中の子どもたちに支援金や食品、贈り物を届けています。子どもの日や中秋節には、季節の行事を楽しめるよう、交流会や贈呈行事も実施しています。
治療にともなう経済的な負担を軽減するとともに、入院生活を送る子どもたちが家族や支援者と交流できる機会を設けています。
2.治療薬の支援
Ngay Mai Tuoi Sang基金は、製薬会社や医療機関と連携し、がん患者に治療薬を提供するプログラムを実施しています。
公式サイトでは、免疫療法薬Keytruda(キイトルーダ)を使用する患者への援助制度が紹介されています。薬剤費の負担を軽減し、患者が治療を継続できる環境を整えることが目的です。
また、2025年には、抗がん剤Stivarga(スチバーガ)による治療を受ける患者を対象に、皮膚症状のケアに用いる尿素20%配合クリームを無償で提供しました。治療薬に加え、副作用への対応に必要な用品も支援しています。
3.医師による相談
患者や家族が病気と治療への理解を深められるよう、医師による相談対応や医療情報の発信にも取り組んでいます。
公式サイトでは、肝臓がんに関する医療情報の提供や患者支援を目的とした教育イベント「Chuyen Cua Gan(チュエンクアガン)」が案内されています。同イベントでは、専門医によるオンライン相談や無料検診などが行われています。
また、公式サイト内の患者向け情報ページ「Goc Nguoi Benh(ゴックグオイベン)」では、援助の申請手続きや、治療薬の提供に関する問い合わせ方法などを案内しています。
Ngay Mai Tuoi Sang基金への参加・寄付方法
各活動への参加・協力
企業や団体は、基金が実施する各種プログラムへの参加や、活動に必要な物資の提供などが可能です。公式サイトにはスポンサー登録フォームが設けられており、連携を希望する場合は、フォームまたは掲載されている窓口から問い合わせが可能です。
協力内容はプログラムや実施時期によって異なるため、具体的な参加方法については基金へお問い合わせください。
寄付による支援
個人や企業は、銀行振込や電子ウォレット「MoMo(モモ)」を通じて、基金へ金銭的な支援を行えます。また、公式サイトに掲載されている患者本人の口座へ直接送金し、特定の患者を個別に支える方法もあります。
公式サイトには、基金の振込先口座やMoMoのQRコードのほか、支援を必要とする患者の情報が掲載されています。振込先や募集状況が変更される場合もあるため、寄付する際は最新の内容をご確認ください。
Ngay Mai Tuoi Sang基金の実績と信頼性
公式サイトによると、Ngay Mai Tuoi Sang基金はこれまでに、経済的に困難ながん患者3万4,500人以上を対象に、治療費の援助や贈り物の提供を行ってきました。
また、7万9,000人以上にがんの早期発見に向けた検診を実施しており、医薬品の提供などを含む活動総額は1兆4,000億VND(約87億円)を超えています。
公式サイトでは、患者への援助実績、検診の実施人数、活動総額などが公開されています。支援の規模や活動の継続状況を具体的な数値から確認できる点は、同基金の実績を把握するうえでの判断材料となります。
基本情報・問い合わせ
まとめ
がん患者が治療を続けていくためには、医療だけでなく、経済面や生活面、情報面を含む継続的な支えが求められます。Ngay Mai Tuoi Sang基金は、患者が置かれている状況に目を向け、治療を断念せずに済むための支援基盤を築いてきました。
患者本人と家族に寄り添うこうした取り組みは、がんを個人や家庭だけの問題とせず、社会全体で支えていくことの重要性を示しています。同基金の活動は、ベトナムにおける患者支援の輪を広げる一助となっているといえるでしょう。




