保護犬・保護猫と出会える場所として、保護犬カフェや保護猫カフェへの関心が高まっています。動物とふれあえる親しみやすい形式を通じて、里親を待つ犬や猫の存在を知り、譲渡につなげる取り組みです。
保護される犬や猫には、迷子や飼育放棄、多頭飼育崩壊、繁殖業者の廃業・引退など、さまざまな背景があります。新しい家族を探す際は、性格や健康状態、希望者の生活環境との相性を丁寧に確認しなければなりません。写真や文章だけでなく、実際に会って時間を過ごせる場所が重要です。
本記事では、保護犬・保護猫の里親探しに取り組む事例として、HOGOKEN CAFE®、NPO法人東京キャットガーディアン、ネコリパブリックの3団体を取り上げます。カフェや開放型シェルターが、動物と人をどのようにつないでいるのかを紹介します。
保護犬・保護猫を取り巻く現状
日本では、犬や猫の殺処分数が長期的に減少しています。一方、自治体に引き取られる犬や猫、負傷した状態で収容される動物は今も少なくありません。環境省の統計によると、令和6年度の犬・猫の引き取り数は合計3万9,409頭、譲渡数は2万5,651頭、殺処分数は6,830頭でした。
過去と比較すると状況は改善していますが、保護される動物がいる限り、新しい家族へつなぐ仕組みが必要です。病気や高齢、臆病な性格、社会化の不足などによって、譲渡までに時間がかかる犬や猫には、継続的なケアと情報発信が求められます。
犬や猫を家族に迎えるには、食事や医療、住環境、しつけ、日々の世話に加え、最期まで責任を持つ覚悟が欠かせません。保護犬・保護猫カフェは、動物と出会うだけでなく、命を迎える責任について考える機会にもなります。
カフェや開放型シェルターが果たす役割

保護犬・保護猫カフェの特徴は、来場者が犬や猫と同じ空間で過ごしながら、それぞれの性格や行動を知れることです。譲渡会や写真だけでは伝わりにくい、人への慣れ方、落ち着き方、遊び方、ほかの動物との関係などを実際に確認できます。
カフェという入りやすい形式は、すぐに里親になる予定がない人にも、保護動物の存在を知ってもらうきっかけを生み出します。来場やグッズの購入、寄付、SNSでの情報発信など、譲渡以外の関わり方も活動を支える力になります。
保護動物の背景や性格の違いを迎える前に知ることは、譲渡後のミスマッチを防ぐうえでも重要です。カフェや開放型シェルターは、動物と人が互いに無理なく暮らせる組み合わせを考える場としても機能しています。
団体ごとの具体的な取り組み
ここからは、保護犬・保護猫カフェや開放型シェルターを通じて里親探しを進める3つの事例を紹介します。
HOGOKEN CAFE®

HOGOKEN CAFE®は、大阪市北区で保護犬・保護猫の里親探しに取り組むカフェです。公式サイトでは、行政や一般家庭からの飼育放棄、繁殖業者の崩壊・引退などを背景に保護した犬や猫の家族を探していると紹介されています。
カフェにいる犬や猫は、里親を募集している子たちです。来店者は同じ空間で過ごしながら、人が好きな子、慎重に距離を縮める子、甘えることを好む子など、それぞれの個性に触れられます。
保護犬や保護猫に対して、「人に慣れにくいのではないか」といった印象を持つ人もいます。しかし、実際に会うことで、その子らしい表情や行動に気づく場合があります。ふれあいの場を設けることは、保護動物への先入観をやわらげるうえでも有効です。
同カフェでは、里親希望者に限らず、すぐに動物を迎える予定がない人も利用できます。現在は飼えない人であっても、活動を知ることで将来の里親候補になったり、周囲へ情報を伝えたりする可能性があります。
公式サイトでは、里親を募集している犬や猫に加え、新しい家族が見つかった子たちの情報も発信しています。HOGOKEN CAFE®は、実際のふれあいを通じて、保護動物を家族に迎える選択肢を身近に伝える取り組みといえます。
参考リンク
・HOGOKEN CAFE® 公式サイト
・里親になるには
・NPO法人ラブファイブ 公式サイト
NPO法人東京キャットガーディアン

NPO法人東京キャットガーディアンは、東京都豊島区を拠点に保護猫の譲渡活動を行う団体です。大塚にある開放型シェルターは、里親を待つ猫の譲渡会場、保護猫カフェ、猫関連グッズのショップを兼ねた施設として運営されています。
同団体は、「来て」「見て」「学んで」猫のため、という考え方を掲げています。すぐに猫と暮らせない人や、新たに迎えることが難しい人も、シェルターを訪れることで保護活動に関われる仕組みです。
譲渡を希望する人は、猫と同じ空間で過ごしながら、性格や行動を確認できます。猫の健康状態だけでなく、希望者の住環境や家族構成、先住動物の有無などを踏まえて面談を行うため、双方に適した組み合わせを慎重に検討できます。
開放型シェルターでは、手洗いや消毒、静かに過ごすことなど、猫へ負担をかけないための注意事項が案内されています。来場者が楽しむだけでなく、猫が安心して生活できる環境を守る視点が欠かせません。
併設ショップやチャリティリサイクルショップも運営されており、買い物を通じて活動を支えられます。譲渡会場、保護猫カフェ、ショップを組み合わせることで、猫との出会いと支援の入口を広げています。
参考リンク
・NPO法人東京キャットガーディアン 公式サイト
・開放型シェルター、保護猫カフェの案内
・猫の里親募集
ネコリパブリック

ネコリパブリックは、地域の保護猫団体と協力しながら、保護された猫の里親探しを行う保護猫カフェです。ビジネスとして自立した運営を目指す「自走型保護猫カフェ」として活動を始めました。
保護猫との出会いに加え、グッズ販売やイベント、寄付、企業との連携など、楽しみながら猫助けに参加できる仕組みを展開しています。カフェの利用や商品の購入によって生まれた収益は、保護猫の食事代や医療費、施設運営などを支える資金になります。
保護活動を継続するには、医療費やフード代、施設の維持費、人手など、多くの資源が必要です。寄付だけに依存せず、商品やサービスを通じて活動資金を生み出す仕組みは、保護猫を長期的に支えるうえで重要な役割を担います。
ネコリパブリックは、猫を家族に迎える際に、保護猫を選択肢として考えてほしいというメッセージも発信しています。希望者はカフェや保護施設、譲渡会などで猫とふれあい、スタッフへ生活環境や家族構成を相談しながら、相性を確認できます。
公式サイトでは、現在在籍している猫と、新しい家族のもとへ移った卒業猫の情報を掲載しています。カフェ運営に物販、イベント、企業連携を組み合わせる取り組みは、持続可能な保護活動の形を示しています。
参考リンク
・ネコリパブリック 公式サイト
・ネコリパブリックとは?
・ネコリパの猫たち
・保護猫を家族にしたい
譲渡と支援に必要な視点

保護犬・保護猫カフェは、動物と人が出会う入口として大きな役割を担います。ただし、カフェで気になる子と出会っても、すぐに譲渡が決まるとは限りません。性格や健康状態、住環境、家族の同意、飼育にかかる時間や費用を踏まえ、慎重に判断する必要があります。
保護動物の背景や必要なケアは一頭ごとに異なります。人に慣れるまで時間がかかる子、継続的な治療を必要とする子、高齢の子、静かな環境を好む子もいます。見た目や一度会ったときの印象だけで決めず、スタッフと相談しながら、その子に適した暮らしを考えることが大切です。
来場者にも、動物へ配慮した行動が求められます。大きな声を出さない、無理に抱き上げない、眠っている子を起こさないなど、店舗や団体のルールを守らなければなりません。カフェやシェルターは、人が動物とふれあう場所であると同時に、里親を待つ犬や猫が生活する場所です。
支援の方法は、里親になることだけではありません。来場、寄付、物資の提供、グッズ購入、ボランティア、SNSでの情報発信など、生活に合わせた関わり方があります。動物を迎えることが難しい人も、無理のない形で保護活動を支えられます。
まとめ
保護犬・保護猫カフェや開放型シェルターは、里親を待つ動物を身近に知る機会をつくっています。実際に同じ空間で過ごすことで、写真や文章だけではわからない性格や行動に触れ、自分の生活に迎えられるかを具体的に考えられます。
一方、こうした施設の役割は、譲渡の仲介だけではありません。保護動物について学ぶ場を設け、来場や買い物、寄付など複数の支援方法を用意することで、すぐに里親になれない人も活動へ参加できます。保護を継続するための資金や人手を確保する仕組みとしても重要です。
動物を家族に迎えることは、ひとつの命を最期まで預かることです。慎重な面談や相性の確認は、希望者を遠ざけるためではなく、犬や猫と家族が安心して暮らすために行われます。
里親になる人、施設を訪れる人、商品を購入する人、情報を広める人など、それぞれの行動が保護活動を支えます。保護犬・保護猫カフェという親しみやすい入口が広がることで、動物と新しい家族が出会う機会も増えていきます。