パソコンやデジタル技術は、学習や就職の選択肢を広げる一方、デジタル技術に触れる環境が十分に整っていない地域もあります。ベトナムでも、学校におけるICT環境の整備や若者がデジタルスキルを学ぶ機会の確保が重要なテーマとなっています。
日本のリコーグループのベトナム法人であるRICOH(リコー)ベトナム(以下、RICOHベトナム)は、複合機やデジタルサービスなどを手がける一方、学校のデジタル環境整備や若者の就労支援、環境活動にも取り組んできました。
本記事では、RICOHベトナムがベトナムで行ってきた主な活動を、分野ごとに紹介します。
RICOHベトナムと地域社会との関わり
活動の対象や進め方はそれぞれ異なり、複数年にわたって展開されたものもあります。ここからは、RICOHベトナムが現地で重ねてきた取り組みを具体的に見ていきます。
学校のデジタル環境を整える教育支援

RICOHベトナムは、パソコンや複合機などの提供を通じて、教育環境が十分に整っていない地域の子どもたちを支援してきました。2020年には、学校などにコンピューター室を整備する教育支援プログラム「Aha! Our School Has A Computer Lab(アハ!アワースクールハズアコンピューターラボ)」を開始しました。同プログラムは、その後も複数の地域で展開されました。
最初の活動先となったダクラク省のTeresa Ethnic House(テレサエスニックハウス)は、200人を超える子どもたちが暮らす施設です。2020年10月には、パソコン16台を備えたコンピューター室を設け、400冊を超える書籍や1,200冊のノートなどを寄贈しました。その後はクアンビン省やハイズオン省にも活動を広げ、2022年にはハイズオン省のNgo Quyen Primary and Secondary School(ゴークエン小中学校)でコンピューター室の整備を行いました。
これまでに120台を超える中古パソコンと25台のノートパソコンを寄贈し、6カ所のコンピューター室を整備するとともに、再生複合機3台と自転車10台を提供し、30人に奨学金を支給しました。
若者の就職を支えるデジタル研修

2023年、RICOHベトナムは日本の親会社であるリコーとともに、ベトナムの非営利団体REACH(リーチ)と連携し、若者向けデジタル支援プログラム「Digital Support Program for Young People(デジタルサポートプログラムフォーヤングピープル)」を開始しました。REACHは、若者への職業訓練や就職支援を行うベトナムの非営利団体です。同プログラムはベトナム中部のフエにあるREACH研修センターで実施され、ソフトスキル研修やグラフィックデザインなどの技術研修、就職に向けたフォローアップが組み込まれました。
初年度の参加者15人は全員がプログラムを修了し、80%が安定した仕事に就きました。生活状況の改善を実感した修了者も80%に上り、就職した修了者の50%は、6カ月後の収入が参加前を上回りました。その後もプログラムは継続され、2024年12月から2025年8月まで実施された第2期では、リコーの担当者による履歴書作成や面接対応に関する研修、模擬面接などを通じて、参加者の就職活動を支援しました。
環境に配慮した事業活動

RICOHベトナムは、ESG(環境・社会・ガバナンス)の考え方を事業活動に取り入れています。環境分野では、複合機やIT機器の再利用や再生、製品寿命の延長が主な取り組みです。2017年に廃棄物管理の仕組みを導入して以降、使用済みトナーカートリッジや機器の回収、再利用や再生可能な機器の選別などを継続しています。
2019年の「World Environment Day(世界環境デー)」では、RICOHベトナムが社員や企業、個人に参加を呼びかけ、自然光の利用やLED照明への切り替え、マイボトルやエコバッグの使用など、職場や家庭、公共の場で実践できる身近な環境行動にベトナム国内の多くの企業や個人が参加しました。
翌2020年6月には、リコーグループのSDGs関連活動「Ricoh Global SDGs Action(リコーグローバルSDGsアクション)」の一環として、ホーチミン市のE-town Central(イータウンセントラル)で「Eco Action Day(エコアクションデー)」を開催しました。当日は企業や団体が参加し、環境に配慮した行動の宣言やSNSでの情報発信を通じて、環境問題について考える機会となりました。
基本情報・参考資料

- 公式サイト:https://www.ricoh.com.vn
- Facebook:https://www.facebook.com/RicohVietnam
まとめ
RICOHベトナムの社会貢献活動は、自社の事業領域や技術と結び付いた形で進められてきました。地域社会との関わりの中で、リコーグループが培ってきた知見を生かしている点が特徴です。
デジタル技術を扱う企業としての経験を基盤に、ベトナムで求められる支援の形に合わせながら活動を展開してきました。地域のニーズと自社の強みを結び付けることが、RICOHベトナムの活動の軸となっています。