ベトナムでは、衣服に求められる役割が以前とは少しずつ変化しています。機能性や快適さに加え、環境や社会への配慮も、服を選ぶ際の判断基準として意識される場面が増えています。
ユニクロベトナム(以下、ユニクロ)は、「LifeWear(ライフウェア)」というコンセプトのもと、服を通じて暮らしをより快適にすることを目指しています。同ブランドを展開するファーストリテイリングは、この考え方を製品開発にとどめず、社会との関わり方にも反映しています。
企業の社会貢献活動は、事業とは別に行われることもありますが、ユニクロでは、服の企画や販売、回収までの一連の流れに社会的な価値もあわせて取り入れられています。
ベトナムでも、日々の事業の中でこうした取り組みが続けられています。ここからは、具体的な内容を紹介します。
ユニクロの社会に向けた活動
ユニクロの活動は、日々の事業と切り離されることなく進められています。衣料品を扱う企業として、服を起点にした関わりが広がっています。
ベトナムでは、衣料の回収や再利用に加え、環境への配慮や地域への支援など、さまざまな形で取り組みが広がっています。ここから、その内容を見ていきます。
衣料を通じた支援

ユニクロの活動の中でも、衣料を活用した支援は中心的な取り組みとなっています。ベトナムでは2021年から、着用しなくなった衣服を回収して再活用する「RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)」が始まり、店舗で回収する仕組みが整えられてきました。
全国の店舗に設置されたリサイクルボックスを通じて回収が行われ、状態の良い衣服はそのまま支援先で活用されています。集められた衣料は、現地の支援団体と連携しながら、必要とされる地域へ届けられています。
これまでに約46,000点の衣料が寄贈され、中部の洪水被災地のほか、ディエンビエンやソンラ、ハザンといった山岳地域の学校、さらにカンザーやチャーヴィンなどにも届けられてきました。
環境への配慮

衣料の生産や販売には、資源の使用や廃棄が伴います。ユニクロではこの点を踏まえ、日々の運営の中で負荷を抑える取り組みが続けられています。
店舗では、照明や空調の使い方が見直され、必要以上のエネルギーを抑える工夫も進められています。紙袋は有料化され、繰り返し使えるバッグを選ぶ人も増えてきました。
紙袋に関する取り組みは、環境負荷の低減だけでなく、自然保護にもつながります。売上の一部は森林保全活動に充てられ、素材や製造工程でも環境負荷を抑える工夫が重ねられています。
地域社会との関わり

ユニクロの活動は、環境への配慮にとどまらず、地域での暮らしに関わる分野にも広がっています。衣料の提供に加え、生活に関わる支援も各地で行われています。
ベトナムでは、医療や生活環境に関わる支援も各地に広がっています。中部のフエ中央病院では、小児患者の治療環境の向上を目的として医療機器が提供されました。これらは、2025年に展開されたオリジナルTシャツを制作できるサービス「UTme!(ユーティーミー)」のコレクションの売上の一部をもとに、支援の一環として実施されたものです。
また、南部チャーヴィン省でも、生活用水の確保に向けて、雨水を貯留し処理する設備の整備が進められています。2022年から続く水支援プロジェクトの一環であり、地域の生活環境の改善にもつながっています。
教育分野に目を向けると、ファーストリテイリングによる奨学金制度も展開されています。ベトナムの高校生を対象としたプログラムは2023年に始まり、2025年までに27名が指定された大学や専攻で学んでいます。卒業後、日本とベトナムの双方で活躍し、両国をつなぐ役割を担う人材の育成が期待されています。
基本情報・参考資料

まとめ
ベトナムにおけるユニクロの活動は、衣料の回収や再活用、店舗での運営、地域への支援など、さまざまな形で続けられています。
一つひとつの内容は異なりますが、いずれも日々の現場の中で行われている点に特徴があります。特別な取り組みとして切り出されるのではなく、日常の延長として続けられていることが、これらの活動を成り立たせています。
こうしたあり方は、社会貢献を事業と切り分けるのではなく、日常の運営の中に組み込んでいくユニクロの姿勢が表れています。