気候変動や森林の劣化、生物多様性の損失が深刻化する中、自然環境を回復させるためには、植樹に加えて、その後の育成管理や地域社会の参加を含む継続的な取り組みが欠かせません。
ベトナムで森林再生や自然環境教育を進めているのが、Trung Tam Bao Ton Thien Nhien Gaia(ガイア自然保全センター)です。同センターは、国立公園や自然保護区における森林の再生をはじめ、子どもや若者、家族、企業を対象とした自然体験、環境に配慮した暮らしの普及などに取り組んでいます。
本記事では、ガイア自然保全センターの具体的な活動や参加・支援方法、これまでに公表されている実績について詳しく解説します。

目次
ガイア自然保全センターとは?
ガイア自然保全センターは、ベトナムで自然保護と環境保全に取り組む非営利の科学技術組織です。人と自然が調和して暮らせる未来を目指し、公式サイトでは「専門性」「効果」「透明性」などを活動方針に掲げています。
特徴の一つが、自然を守る現場の活動と、その価値を市民に伝える機会を組み合わせていることです。植樹や自然体験には企業、学校、家族など幅広い層が参加し、それぞれの立場から環境保全に関われる場につながっています。
ガイア自然保全センターの取り組み紹介
1.森林の再生・モニタリング

ガイア自然保全センターは、ベトナム各地の国立公園や自然保護区を対象に、在来種の植樹と森林再生を進めています。活動地域には、クックフォン国立公園、ベンエン国立公園、スアンリエン国立公園、フォンディエン自然保護区、バックマー国立公園、ドンナイ自然文化保護区などがあります。
森林再生活動は、苗木を植える段階で終わるものではありません。植樹後には下草刈りやつる植物の除去、土壌管理、補植などを行い、森林の状態を継続的に確認します。さらに、樹高や幹の直径、成長状況を測定し、写真や数値をまとめた報告書を支援者や協力企業へ提供します。
植樹する樹種には、地域の生態系に適した在来種が選ばれています。野生動物の生息環境や食料資源の回復にも配慮しながら、水源涵養や土壌保全など森林が持つ機能の回復を図り、気候変動への対応や生物多様性の保全につなげています。
2.自然体験・環境教育

ガイア自然保全センターは、子どもや若者、家族、学校、企業を対象に、森林や自然保護区で体験型プログラムを実施しています。自然を観察し、その役割や人の暮らしとの関係を学ぶことで、環境保全への理解を深める内容です。
家族向けのプログラムでは、自然体験や専門家との交流、植樹などを組み合わせています。若者向けには、森林散策や自然観察、清掃、植樹のほか、環境に配慮した暮らしを考える機会も用意されています。
学校向けには、森林やマングローブ、生態系の役割を実際の自然環境で学べる体験型の環境教育を提供しています。学習内容や参加者の年齢に応じてプログラムを組み立てている点も特徴です。
自然について知識を得るだけでなく、実際に触れる機会を通じて、参加後の暮らしや行動を見直すきっかけにもつなげています。
3.地域や企業と連携した環境活動

ガイア自然保全センターは、企業や学校、行政機関、国立公園、自然保護区などと協力し、森林再生や環境教育を進めています。
企業向けには、植樹や海岸清掃、自然観察などを組み合わせたプログラムがあります。参加人数や期間、活動場所に応じて内容を調整でき、環境保全への貢献だけでなく、従業員同士が交流する機会にもなっています。
2026年7月には、衣料品ブランド「UNIQLO Vietnam(ユニクロ・ベトナム)」と連携し、ターコウ自然保護区で森林の植樹・再生活動を実施しました。初回の活動では833本の在来樹木を植え、砂漠化の進行を抑えるとともに、森林生態系の回復を図っています。この活動は、ターコウ自然保護区、ベンエン国立公園、フォンディエン自然保護区の3カ所で計5,333本を植樹するプログラムの一環です。
ガイア自然保全センターへの参加・支援方法
各活動への参加
ガイア自然保全センターでは、個人、家族、学校、企業など、それぞれの立場に応じた参加方法があります。
- 自然体験プログラムへの参加:森林や自然保護区を訪れ、自然観察、植樹、清掃活動などに参加できます。家族、若者、学校、企業向けに異なるプログラムが用意されています。
- 植樹活動への参加:ガイア自然保全センターが実施する植樹イベントに参加し、現地で在来種の苗木を植える活動に加われます。開催時期や募集対象は、公式サイトやFacebookで案内されています。
- 企業・学校との連携:企業はCSR・ESG活動や従業員向けプログラムとして、学校は環境教育や校外学習の一環として、活動内容について相談できます。参加人数や目的に合わせたプログラムの設計にも対応しています。
寄付による支援
ガイア自然保全センターでは、個人や企業から森林再生活動への寄付を受け付けています。公式サイトによると、5万VNDで1本分の植樹を支援することが可能です。
寄付金は苗木の準備に加え、植樹、下草刈り、補植、その後のモニタリングにも活用されます。1本または複数本分を寄付することで、ガイア自然保全センターが各地で進める森林再生に参加できます。
植樹後の状況は、現地調査に基づく写真や数値をまとめた報告から確認できます。企業向けには、一定規模の植樹と従業員参加型の自然体験を組み合わせた連携プログラムもあります。
ガイア自然保全センターの実績と信頼性
ガイア自然保全センターは、ベトナム各地の国立公園や自然保護区で森林再生を進め、企業や市民との連携実績を積み重ねてきました。公式発表によると、2022年以降、200社近くの企業や数千人の個人が活動に参加し、10カ所の森林で123万5,302本を超える木が植えられました。再生面積は541.8haに上ります。
植樹後には、下草刈りや補植、成長状況の測定を行い、写真や数値を用いて森林の状態を記録しています。一定期間を経た森林では生存率の調査や検収も実施しており、植樹後の管理状況を確認できることは、活動の透明性を判断する材料の一つです。
参考元:
- 「ガイア自然保全センター」公式サイト:森林再生プログラム「Chung Suc Trong Rung」に関する公式発表
- 「ガイア自然保全センター」公式サイト:スアンリエン国立公園の森林検収に関する公式発表
基本情報・問い合わせ

- 公式サイト: https://gaiavn.org
- Facebook: https://www.facebook.com/gaiavn.org/
まとめ
森林を再生するには、木を植えるだけでなく、その土地に根付き、森林として育っていくまで長期的に見守ることが求められます。ガイア自然保全センターの活動からは、こうした時間のかかる自然保全を、企業や市民との協力によって支える一つの形が見えてきます。
気候変動や生物多様性の損失が国境を越えた課題となる中、地域の自然環境に目を向け、継続的に関わる機会を増やしていくことも重要です。ガイア自然保全センターの活動は、森林と人との関係をあらためて考えるきっかけの一つとなっています。