ベトナムに進出した日本企業は、ベトナムの力強い経済成長と歩調を合わせながら、地域社会への敬意を大切にしつつ、長年にわたり事業活動を展開してきました。共に生き、共に働くという価値観は、日系企業に共通する企業文化として、日々の経営や現地での活動の中に深く根づいています。
健全かつ公正なビジネスを通じて社会の発展に貢献することを目指す一方で、気候変動、貧困、不平等といった社会課題が複雑化する中、企業が果たすべき社会的責任は、これまで以上に重要性を増しています。
こうした流れを背景に、ベトナムで広がる社会貢献の最新動向を整理した「ベトナム慈善活動×日系企業」カオスマップを公開しました。本記事では、青少年教育、環境保全、貧困解消、医療支援の4分野を軸に、各企業の取り組みを紹介します。日系企業のCSR・ESG活動の全体像を俯瞰する資料としても活用可能です。
目次
- 青少年教育
- トヨタ自動車ベトナム(Toyota Motor Vietnam)
- ホンダベトナム(Honda Vietnam)
- 三菱自動車ベトナム(Mitsubishi Motor Vietnam)
- ベトナムスズキ(Vietnam Suzuki)
- ヤマハ発動機ベトナム(Yamaha Motor Vietnam)
- TOTOベトナム(TOTO Vietnam)
- ダイキン工業ベトナム(Daikin Vietnam)
- RICOHベトナム(RICOH Vietnam)
- 住友電工グループ(Sumitomo Electric Group)
- エネオスベトナム(ENEOS Vietnam)
- 日野自動車ベトナム(Hino Motors Vietnam)
- 環境保全
- 貧困解消
- 医療支援
- まとめ
青少年教育

ベトナムの次世代を担う若者への教育支援は、多くの日系企業が重点的に取り組んでいる社会貢献分野です。奨学金の提供、学習機会の拡充、教育環境の整備などを通じて、地域の子どもたちが将来の可能性を広げられるよう、継続的な支援が行われています。これらの取り組みは、個人の成長にとどまらず、社会全体の人材育成と持続的な発展にもつながっています。
トヨタ自動車ベトナム(Toyota Motor Vietnam)
トヨタ自動車ベトナムは、ベトナムの交通社会をより安全で快適なものにする取り組みを長年続けています。子ども向けの交通安全教室の開催、自然環境を守る植林事業、大学生への奨学金授与など、交通・環境・教育を軸としたプログラムが特徴です。
活動内容の詳細は以下の記事をご覧ください。

ホンダベトナム(Honda Vietnam)
ホンダベトナムは、モビリティ企業としての知見を活かし、交通安全教育を中心とした社会貢献活動を展開しています。正しいヘルメット着用の啓発や実技講習の提供に加え、奨学金や植樹活動など、教育・環境の両面で継続的にサポートしています。
三菱自動車ベトナム(Mitsubishi Motor Vietnam)
三菱自動車ベトナムは、自動車事業と並行して、教育と地域福祉を中心とした社会貢献活動を展開しています。全国の大学への学習用具寄付や奨学金授与に加え、各団体と協力して貧しい家庭の障害児への手術・医療支援を後援するなど、地域の暮らしを支える取り組みを継続しています。
ベトナムスズキ(Vietnam Suzuki)
ベトナムスズキは、二輪車・四輪車メーカーとして、交通ルール啓発や安全運転プロジェクトを全国で展開。学校や地域と連携した教育支援、環境面での取り組みも実施し、長期的に地域と関わる姿勢を示しています。
ヤマハ発動機ベトナム(Yamaha Motor Vietnam)
ヤマハ発動機ベトナムは、二輪車の製造販売を中心に事業を展開し、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。交通安全教育プログラムの実施、植樹などの環境保全活動、学生向けの教育支援など、多様なCSR活動を継続して推進しています。
TOTOベトナム(TOTO Vietnam)
TOTO(トートー)ベトナムは、衛生設備メーカーとして水と衛生に関する価値づくりを進めています。環境配慮型商品の普及に加え、学校建設協力、奨学金授与など、地域の生活水準向上を支える活動が特徴です。
ダイキン工業ベトナム(Daikin Vietnam)
ダイキン工業ベトナムは、空調機器や冷凍機器のグローバルメーカーで、ベトナムにも製造・販売拠点があります。省エネルギー性能の高い空調機器を提供することで、現地のエネルギー効率向上に貢献。また、環境面では廃棄機器処理を通じて持続可能な社会づくりを支える取り組みを進めています。
RICOHベトナム(RICOH Vietnam)
RICOH(リコー)ベトナムは、ドキュメントソリューションを中心とした事業と並行して、環境・社会・ガバナンス(ESG)を重視した取り組みを展開しています。再利用機器の活用による電子廃棄物削減や、省エネを意識した製品普及など環境面での実践を進める一方、地方学校への機器寄贈やIT学習環境整備など、教育支援活動にも注力しています。
住友電工グループ(Sumitomo Electric Group)
住友電工グループは、公益法人「住友電工グループ社会貢献基金」を設立しており、次世代人材の育成を目的に、国内外で奨学金給付や研究助成を行っています。経済的理由により修学が困難な学生や、大学・研究機関を支援し、教育・学術の発展を通じて持続可能な社会づくりに貢献しています。
エネオスベトナム(ENEOS Vietnam)
エネオスベトナムは、エネルギー関連事業を展開するENEOSグループの現地法人として、ベトナムの産業発展を支えてきました。CSRでは、学校・福祉施設の建設支援や奨学金の提供など、教育と地域コミュニティを対象とした社会貢献活動を継続しています。
日野自動車ベトナム(Hino Motors Vietnam)
日野自動車ベトナムは、商用車メーカーとしての事業と並行して、交通安全、環境保全、教育支援を中心としたCSR活動を展開しています。安全運転トレーニングの提供、植林活動、学校支援プログラムなど、地域社会と共に成長する取り組みを継続しています。
- 公式サイト:https://csr.hino.vn
環境保全

ベトナムでの事業活動において、環境への配慮は欠かせないテーマです。地域の自然環境の保護や廃棄物・水資源管理、植樹や環境教育など、多角的な活動が展開されています。これらの取り組みは、地域社会との共生を目指すCSRの重要な柱となっています。
ブラザーインダストリーズベトナム(Brother Industries Vietnam)
ブラザーインダストリーズベトナムは、プリンターや複合機を中心に事業を展開し、地域社会への貢献にも継続的に取り組んでいます。環境保全活動、教育支援、コミュニティサポートを主軸とし、リサイクル推進や学校への支援活動などを通じて、持続可能な社会づくりを目指しています。
エースコックベトナム(Acecook Vietnam)
エースコックベトナムは、即席麺市場をリードする日本系食品企業として、ベトナムにおけるおいしさと社会的価値の両立を追求しています。製造過程では、紙包装への切り替えやバイオマス燃料・太陽光発電の導入など、環境負荷の軽減に向けた取り組みを実施。さらに、子どもや地域住民を対象とした奨学金・栄養支援プログラムや、食品安全・品質管理体制の強化など、社会貢献と企業ガバナンスの両面で実践を重ねています。
UNIQLOベトナム(UNIQLO Vietnam)
UNIQLO(ユニクロ)ベトナムは、グローバルブランドとしての事業展開と並行して、地域社会への貢献活動を積極的に行っています。衣料寄付プログラムや地域団体との協働支援などを通じて、人々の生活を支える取り組みを継続しています。
イオンベトナム(Aeon Vietnam)
イオンベトナムは、ショッピングモール運営を超えて、地域コミュニティの支援に力を入れている企業です。イオン環境財団による大規模な植樹活動、学校支援、地域福祉プロジェクトなど、商業施設と地域社会をつなぐ独自のCSR活動が広がっています。
貧困解消

経済格差や生活困難に直面する人々への支援も、日系企業の主要な慈善活動の一つです。食事や生活必需品の提供、生活環境改善支援、教育との連動支援などを通じて、地域住民の生活の安定や貧困削減に貢献しています。こうした活動は、地域社会の持続的な発展にもつながります。
キヤノンベトナム(Canon Vietnam)
キヤノンベトナムは、プリンターやカメラ関連製品の製造・販売を手がける日系企業です。人と自然の共生をテーマに、植林や廃棄物削減に向けた活動を全国で実施。学校への教材提供や奨学金も継続して行い、教育環境の改善に取り組んでいます。また、地方の貧困層を支える地域支援プログラムなど、社会課題に寄り添う活動が広がっています。
活動内容の詳細は以下の記事をご覧ください。

パナソニックベトナム(Panasonic Vietnam)
パナソニックベトナムは、環境教育やエコアイデア育成プログラムを通じて、子どもたちに持続可能な未来づくりを伝えています。植林や節電啓発、学校・地域施設の支援など、企業理念「A Better Life, A Better World(より良いくらし、より良い世界)」を体現する活動が特徴です。
日本ペイントベトナム(Nippon Paint Vietnam)
日本ペイントベトナムは、塗料・コーティング製品の技術をベースにベトナム社会に貢献している企業です。学校の壁を塗り直す授業環境改善プロジェクトや、地域のアート活動を通じたコミュニティ再生支援、母親支援団体との協働による住宅補修ボランティアなど、多彩な活動を継続して展開しています。
花王ベトナム(Kao Vietnam)
花王ベトナムは、1887年創業の花王グループが掲げる「Kirei Lifestyle(キレイな暮らし)」をベトナムにおいても実践しています。学校の衛生環境整備を目的に、国際連合児童基金(UNICEF)と連携し2016年から山岳・農村地域の学校を対象に衛生設備導入や手洗い指導を実施。また、思春期の女性を支援する「LOJIEMプロジェクト」など、教育・衛生・地域福祉を軸とした活動を継続しています。
医療支援

医療分野では、健康診断や医療機器の支援、保健教育などを通じて、地域住民の健康維持を支える活動が行われています。子どもや高齢者を対象にした支援も含まれ、生活支援や教育支援と組み合わせることで、地域全体の健康基盤を強化する役割を果たしています。
第一生命ベトナム(Dai-ichi Life Vietnam)
第一生命ベトナムは、生命保険会社として人々の暮らしを支えるだけでなく、医療支援・教育支援・寄付活動など社会基盤づくりに積極的です。特に毎年実施している大規模な植樹活動は、地域の自然環境を守る取り組みとして定着しています。
オムロンヘルスケアベトナム(Omron Healthcare Vietnam)
オムロンヘルスケアベトナムは、日本のヘルスケア技術を基盤に、地域医療の質向上を支援する取り組みを進めています。医療機器の寄贈や基礎医療機関へのサポート活動を通じて、人々の健康づくりに貢献しています。
富士フイルムベトナム(Fujifilm Vietnam)
富士フイルムベトナムは、富士フイルムグループの一員として、技術とイノベーションを活かしベトナム社会の発展に貢献しています。CSR活動では、環境保護、青少年教育支援、医療分野での社会貢献を中心に、地域コミュニティと連携した取り組みを推進しています。
味の素ベトナム(Ajinomoto Vietnam)
味の素ベトナムは、食と健康を中心に事業を展開しながら、社会貢献活動にも幅広く取り組んでいます。学校給食の改善を支援する食育プロジェクトに加え、数千件に及ぶ奨学金の授与、数百戸の慈善住宅建設、学校整備、公共福祉プロジェクトの実施など、地域に根ざした活動を継続しています。
まとめ
本カオスマップを通じて、ベトナムにおいて日系企業が多様な分野で社会課題に向き合い、継続的な社会貢献活動を展開していることが明らかになりました。各企業は、それぞれの事業特性や強みを活かしながら、教育、環境、医療、貧困解消といった分野で地域社会と共に歩んでいます。
こうした取り組みは、企業価値の向上にとどまらず、ベトナム社会の持続的な発展を支える重要な基盤となっています。今後も、日系企業とベトナム社会との信頼関係が一層深化し、長期的なパートナーシップへと発展していくことが期待されます。